【ゼロside】




「フロンティア・シティへ、テレポーテーション」



そう呪文を唱えれば、姉さん達は僕が指定した場所へ瞬間移動した。


ホッとしたのもつかの間、左目が燃えるように熱くなる。



「う、ぐあああっ」



動けなくなるほどの痛みが襲う。


なんとか壁に寄りかかり、熱と痛みが引くのを待った。


浅い呼吸を繰り返しながら、姉さんと触れた手を見つめる。



姉さんの手は、温かかったな。


希望がにじみ出ているような、小さくて柔らかい手だった。



ずっと、言えなかった。


あなたに会いたかった理由を。


僕があなたの義弟だということを。



でも、今ようやく言える。


あなたに会えて、「姉さん」と呼べて、本当によかった。



僕は、あなたに死んでほしくない。


生きていてほしいんだ。


僕はもう二度とあなたを守れないけれど、一瞬でも味方になれて嬉しかった。



……絶対に運命に負けないでくれ。