二人には、頼れない。
でも、信頼の糸は、切れてはいない。
幸い、口は塞がれていない。
「女王様、この国には苦しんでる人が多勢いるんです。お母さんや私のことを憎んでいても、あなたは女王様なんですから、まずはこの国を……」
「だから、何?」
女王様のたった一言の返答で、気づいてしまった。
『女王様と真正面からぶつかって、話し合いをして、この国の現状を知ってもらって、改善していってほしいって伝えるの』
『女王様から、国のことも私のこともお母さんのことも、ちゃんと聞きたい。女王様の言葉が、聞きたいの』
それすらも、できないということに。
だったら、私の唯一の能力を使うしかない。
洗脳を解いてもらうために、この国を良くするために、女王様の闇を打ち消そう。
そして、グリンもゼロさんも、女王様も。
この世界だって、救ってみせる。
女王様、聴いていてくださいね。
私の歌を。
目を閉じて、歌声を紡ぎ出す。
「♪~~ごめんねって泣いてる 真っ赤にして不器用に 素直じゃないよね君は~~♪」
瞼を開けると、女王様は苦しんでも笑顔になってもいなくて、ただ鋭い眼差しで私を貫いていた。
“君に贈る幸せのかたち”は、お母さんが愛情を込めて作った歌。
それなのに、一ミリだって女王様には届いていない。
どうして、いやしの歌が効いていないの!?
女王様がヒールの甲高い音を立てながら、私に近づいてきた。



