ニヤリと不敵に笑った俺達に、警備隊が警戒して一歩下がる。


ラジは右手の人差し指を、頭上に突き上げた。


警備隊全員を倒すのは、時間的にも体力的にも難しい。


だから……。



「ヘウ゛ン・プルガシオン」



ラジがそう呪文を唱えると、人差し指の先に白い光が集まり。


その光が、パァッ!、とこの場を覆っていった。


警備隊は、突然の激しい光を眩しがって、固く目を閉ざす。


それを合図に、俺とラジは階段を一気に駆け上がり、セイント城の正門の方へ走っていった。



「うまくいったな」


「とりあえず、一つ目の関門突破ってところだな」



走りながらラジと軽くハイタッチをして、路地に入った。


路地を曲がると、繁華街があった。



「なあ、知ってるか?」



俺とラジのいる路地のすぐそばで、男二人が世間話をしていた。


俺は進むのは一旦ストップ、と言わんばかりにラジの前に手を出す。