【シエルside】




オーロラとグリンが隠し通路に入ろうとしていた頃――。


俺とラジは、未だに階段で闘っていた。



倒しても倒しても、援軍が来る。


警備隊の多さに、拍手を送りたくなるほど。



ロック・クレイで防御しつつ、アルディ・ソードで峰打ちをして気絶させる。


その繰り返しをしていたら、さすがに疲れてきた。


ラジも魔法を使いすぎて、体力を相当消耗しているようだ。



早く、方を付けなければいけないようだな。



だが、こうも敵が多いと、闘争心はあっても、先に体力が底をついてしまう。


どうするべきか……。


すると、鉄剣を構えた数名の警備隊が、俺を囲った。



本来ならば、俺は警備隊から避けなくても死ぬことはない。


精霊は、物理的な攻撃を受けても、命を落とすことはないのだ。


心臓が実体として存在していないのだから。


精霊が死ぬのは、百万という寿命が尽きた時のみ。



けれど、実体化した身体に大きな損傷を負ってしまえば、しばらくの間、姿を現せなくなってしまう。



だから、俺は攻撃を避けるのだ。


痛みよりも、苦しみよりも、疲れよりも。


重傷となって身体を実体化できなくなった俺を想って涙を流すオーロラを見る方が、よっぽど辛く、恐ろしい。