私の視線は、自然とゼロさんの左目をなぞっていた。
息を吹きかけたような控えめな風が吹いて、ゼロさんの前髪が揺れる。
ゼロさんの左目が、濡れた前髪の隙間から偶然見えてしまった。
漆黒の右目とは似ても似つかない、真っ赤な左目。
……あれ?
でも、左目にも黒っぽさがある。
左の瞳は、少し多めの狂おしいくらいの赤色と、絶対的に侵されることのない黒色で彩られていた。
それらは混ざり合っているのに、決して濁ることはなく、それぞれの色を忘れていない。
赤色が、黒色を食べようとしているみたいだ。
「綺麗……」
無意識に、ゼロさんの左目に手が伸びていた。
ビー玉のように澄んでいて。
それなのに、なぜか寂しげな瞳。
左目に触れようとした瞬間、ゼロさんにパシッと手を強く掴まれた。
「あ、ご、ごめんなさい!」
「い、いや、僕の方こそすみません」
正気に戻って、手を引っ込める。
私の手を掴んだゼロさんの手のひらは、ひどく冷たかった。
けれど、前と同じような懐かしさを感じて、胸がざわつく。
どうしてだろう。



