「左目が隠れているから、年上に見えちゃったのかもしれないです。あはは」
「………」
笑いながら冗談でそう言ったら、ゼロさんの表情から笑みが消えて。
ゼロさんは黙り込んでしまった。
「ご、ごめんなさい」
「いえ、別にいいんです」
すぐに謝ると、ゼロさんは前髪越しに自分の左目に触れた。
せっかく和やかな雰囲気だったのに、私が壊しちゃってどうするの……。
しょぼん、と落ち込んでいた私に気を遣って、ゼロさんが重い口を開いた。
「実は、生まれつき左目だけ見えないんです」
衝撃的な言葉に、俯きかけた顔をゼロさんに向ける。
「そのせいで、この左目を幼い頃から気味悪がられて……」
だから、前髪で隠していたの?
ゼロさんの辛い事情を知らなかったとはいえ、私はなんてことを言ってしまったんだろう。
ごめんなさい、と謝ろうとして、その謝罪を喉の奥に押し戻す。
……違う。
ゼロさんは、謝られたいわけでも、同情を求めているわけでもない。



