警備隊が、だんだんとこちらへ向かってくる。
グリンは細道の方を示しながら、黒猫と猫語で喋っていた。
獣族って、動物と会話ができるのかな?
それとも、感覚的にやっているだけ?
「頼むねー」
「にゃ~お」
グリンが黒猫の頭を撫でると、黒猫は細道の方へ颯爽と駆けていった。
「ね、猫ちゃ……!?」
突然走り出した黒猫を心配して呼び止めようとした私の口を、グリンが大きな手のひらで包むように塞いだ。
グリンは、さっきのシエルと同じように「しーっ」と唇に人差し指を乗せる。
こくこく、と頷いた私から、グリンの手のひらが離れた。
暗い脇道から飛び出した黒猫が、こちらに近づいていた警備隊の前に姿を現した。
「なんだ、ただの猫じゃないか」
「人騒がせな猫だ」
グリンの思惑を、ようやく理解した。
なるほど。
警備隊に脇道にいたのは黒猫だけ、と思わせる作戦だったんだ。



