大地を抜けたのは、正午を過ぎた頃だった。


長くて急な階段を上って、アストラル・グラウンドへ。



警備隊に見つかる前に、近くの薄暗い路地裏に入り、ラジはポケットからこの街のマップを出して広げた。


私達はマップで、フロンティア・シティに続く階段よりも北西に位置している、クリスタル・タウンに続く階段の場所を確認する。



「予想通り、物々しい警備だな」



シエルができるだけ気配を消しながら、現在の警備隊の配置を窺う。


私は、新しい服に付いているフードを深く被った。


フロンティア・シティの住人達が、私の髪色をごまかすために、フードを付けてくれたらしい。



エメラルドグリーンの髪色はこの国ではあまり珍しくないとはいえ、私がオーロラだとわからなくても、それだけの理由で追われる場合だってある。


うろたえずに、用心しながら進まなくちゃ。



「シエル、頼んだよ~」


「あぁ、わかっている」



グリンの声に頷いたシエルは、一瞬で姿を消した。


シエルが実体化せずに周りの様子を見て、安全なルートがあるかどうか調べに行ってくれているんだ。



数分して現れたシエルは、ラジが持っているマップで、警備隊がいない道を指先でなぞって教えてくれた。