オーロラの歌




けれど、いつまで経っても、痛みはやってこなかった。


恐る恐る瞼を開けていく。


視界に映ったのは、シエルの朗らかな表情だった。



「やはり似合うな」



髪に違和感を感じて、耳元に触れてみると。



「花……?」



髪に、小さな野花がさしてあった。


この町のどこかに咲いていた、貴重な花かな?それとも、遠くの森から摘んできたの?



「シエル、ありがとう」



シエルの思いやりに、口が緩んでしまう。


プレゼントしてくれて、本当に嬉しい。


既視感を感じるのは、シエルと初めて出会った時と似ているからかな。


あの時は、花冠を作ってくれたんだっけ。



「……元気になったようだな」


「何か言った?」


「いや、どういたしまして、と言っただけだ」



そう言ったシエルの表情は愛想のないものに戻ってしまったけど、どこか幸せそうで。


シエルを見つめていたら、女王になるだとかならないだとか、悶々と悩んでいたことを、一瞬だけ忘れられた。