子ども達が見えなくなってから、振っていた手を弱々しく下ろす。
嘲笑っている夕日によって、記憶からウメおばあちゃんとラジの声を引っ張り出された。
『あぁ、我が王よ』
『アンジェラス様が亡くなられた今、あなた様こそ、この国の王になられるにふさわしいお方です』
『そしたら、今度はお前が女王になるかもしれねぇんだ』
ウメおばあちゃんもラジも、私が国王になることを望んでいて、私が国王になるはずだと思っている。
……私がこの国の王?
ありえないよ。
私はただ、平和にのどかに、暮らしていたいだけなのに。
国王になれる人は、私だけじゃなく、女王様の息子であり私の腹違いの弟だっているのに。
どうして、私に女王になってほしいんだろう。
お母さんの娘だから?
本当は私も王族だから?
将来に期待される重圧が、押し寄せる。
その大きくうねる波は、お母さんに託された手紙の内容を運んできた。
「私は、女王にはなれないよ……」
だって、きっと
私の運命が、そうさせてはくれない。
いやしの歌の能力を授かった私は
ためらうことなく歌い続ける私は
最初から、期待には応えられない運命なんだ。



