私がグリンに『きっと、汚くないよ』って必死に伝えたことも、私は鮮明に覚えているよ。
「グリンは今も、この町を汚いって思ってる?」
私はまたグリンの冷たい瞳を見たくなくて、視線を足元に落とした。
グリンはいきなり質問されて驚いているのか、すぐに返事は返ってこなかった。
手持ち無沙汰で、乾いた地面を軽く蹴る。
途端に土埃が舞い上がって、喉を刺激した。
ほとんど自然のないフロンティア・シティは、全体的に茶色くて、まるで秘境の地。
町の住人達の雰囲気は暗くて。
俯いて生活する日々。
それでも、私はやっぱり汚いだなんて思えなくて。
今は眠っている、この町の本来の姿を見てみたくて。
私の歌で本来の姿を引き出せるのならば、歌いたかったんだ。
ずっと、ずっと。
「……そうでも、なかったよ」
グリンは、普段とは違う喋り方でそう答えた。
私は胸を高鳴らせながら、視界を上げてグリンの横顔を見つめる。
グリンの優しい眼差しの先には、それぞれ獣に変身して遊んでいる子ども達がいた。
私には、獣族らしさ、というのはよくわからないけれど。
この町らしさは、知っている。
グリンもそれに、気づけたんだね。



