目覚めは最悪で、目尻には涙が溜まっていた。


浅い夢の中はとても居心地が悪くて、頭痛がする。


お母さんと女王様の関係を聞いてしまったから、あんな夢を見ちゃうのかな。



顔を洗って、服を着替えて。


悪夢を忘れた振りして、「よし」と気合いを入れてから部屋を出た。



フロンティア・シティに来て、三日目の朝。


初日に行った即席コンサートのおかげで、町の住人達とはすぐに打ち解けた。


特に子どもに懐かれて、よく一緒に遊んでいる。



リビングには、既に起きていたラジとグリンとシエル、それからウメおばあちゃんがいて、皆ほぼ同時に挨拶をしてきてくれた。


私は挨拶を返してから、椅子に座って、ウメおばあちゃんが作ってくれた朝食を食べる。


今日も美味しい!


泊めてくれただけじゃなく朝食まで作ってくれるなんて、ウメおばあちゃんには感謝してもしきれない。



「あ!それ、俺の!!」


「よそ見してるから奪われるんだよーっ」


「朝食くらい、静かに食えないのか……」



騒がしい三人に、私とウメおばあちゃんはふふっと笑みをこぼした。


こういう、和やかな朝が好き。


今だけは、この時間だけは、残酷なことを全て記憶から削除して、仲間との何気ない思い出として切り取って宝物箱にしまいたい。