オーロラには、誰かを憎むとか恨むとか、そんな感情が欠落していて。
だから、誰かを信じる気持ちが、欠けた部分を埋めているみたいに大きいのかもしれない。
「私、女王様に会いたい。会わないといけない気がするの」
この空の下、きっと女王様もオーロラに会いたがっている。
でも、それはオーロラとは違う理由だ。
女王様はオーロラのような綺麗な心で、会いたいと思っているわけじゃない。
「女王様から、国のことも私のこともお母さんのことも、ちゃんと聞きたい。女王様の言葉が、聞きたいの」
俺の耳にはどうしても、これは自分の使命だと、言っているようにしか聞こえなかった。
そんな使命果たさなくていい、と伝えてしまいたい。
「だから、セイント城へ行く」
オーロラは、今改めて決心した。
「もう、逃げるのはやめる」
「お前、わかってんのか?もし女王様が全部話したとして、反省したとしても、女王様がやってきたことは消えたりしねぇ。女王様が一生牢暮らしすることになるのは、ほぼ確定だぞ?」
被害者であるオーロラが、女王様を許したとしても。
国民が、女王様の悪事を許すわけがない。
ていうか、俺が許さない。
「そしたら、今度はお前が女王になるかもしれねぇんだ。この意味がわかってんのか?」
「女王様には息子がいるじゃん」
「女王様の息子を、誰が次期国王に推薦するかよ」
国民が、オーロラが本当は王族だとわかったら、女王様の息子よりもオーロラを次期国王に迎えたいはずだ。
オーロラのこの国を救いたいって気持ちには、何も言わない。
でもオーロラは、事の重大さを、そうなるかもしれない未来を、まだ曖昧にしかわかってない。



