シエルの言葉を聞いてから、俺はオーロラの目が赤くなっていることに気づいた。
……オーロラ、泣いてたんだ。
言われてから気づくとか、情けねぇな。
オーロラの目元を、シエルの長い指がそっと触れる。
恋人同士のような二人の姿に、ズキリ、と胸が痛んだ。
「心配しないで。お母さんの夢を見てて、つい泣いちゃっただけだから」
「本当か?嘘だったら承知しないぞ」
「本当だよ。信じて?ね?」
渋々頷いたシエルに、オーロラはふわりと微笑んだ。
「わあ……!」
不意に、オーロラが歓喜の声を上げた。
オーロラは俺の隣に来て、前のめりになりながら、夜空を眺める。
「綺麗だなぁ」
月明かりが、オーロラの髪を輝かせる。
オーロラも、夜空に負けてねぇくらい綺麗だよ。
そんなきざなセリフを言えるわけもなく、気づかれないようにオーロラを静かに見つめた。
「女王様もさ、この夜空を見てるのかな」
オーロラの呟き声が、ポツリ、とこぼれた。
残酷な過去を聞かされたばかりだというのに、オーロラの瞳は濁らずに澄んだまま。



