ウメおばあちゃんは、グリンの考えを察して眉をひそめる。
「もしもの話ですが」
そんな前置きをされて。
いつもひょうきん者なグリンが、珍しく動揺していて。
不吉な予感に、駆られた。
「ハルシオンのページを破った犯人がイービル様だとしたら、オーロラ様を殺すことができず、逆に追い詰められた場合、雷を操る能力を持っているイービル様が転生魔法を使う可能性が非常に高いのです」
女王様が転生魔法を使って、別の世界でもオーロラと同じ魂を持つ奴を殺そうとするってことか?
オーロラの魂を殺せるまで、何度も何度も。
チラ、とオーロラの方を盗み見ると、オーロラは震えを隠すようにギュッと拳を握りしめていた。
怖い。嫌だ。生きるのが辛い。そう、叫べばいいのに。
今だけでも楽になる方法を選べばいいのに。
それでもオーロラは、強がって、こらえて、弱音を飲み込んで。
オーロラの小さくて華奢な肩には、きっと、残酷な色をした大きくて重い運命がのしかかっているのだろう。
俺には想像もつかないその運命に、俺は寄り添えるだろうか。
俺は、オーロラの心にある悲しみを、少しでも多くもらうことはできないだろうか。
繰り返される恐怖から、オーロラを遠ざけてあげたい。
できることならば、恐怖を消してあげたい。
だが、オーロラが向かおうとしている先には、恐怖があちらこちらに舞う暗闇しかない。
闇一色の中、俺はオーロラをちゃんと守れるのだろうか。
なあ、オーロラ。
お前は、今どんな気持ちなんだ?



