ハルシオン、なんて聞いたことがない。
ゾクッ、と身の毛がよだつ。
「契約をして悪霊に力を借りることによって、いくつもの禁断の魔法が使えるようになります。その魔法は、契約そのものよりも大変恐ろしいものなのです」
契約よりも?
興味というよりは死を感じさせる不安が、どんな魔法なのだろう、と疑問を抱かせた。
「ハルシオンをしてできる魔法は、全部で四つ。その内の二つは、直接命を狙うものではなく、魔法をかけた相手を闇に葬り地獄に堕とすような、悪の魔法です」
ウメおばあちゃんの声が、心なしか暗くなった。
鼓動が加速していく。
……随分とタチの悪い魔法だな。
恐怖のせいで、喉の奥が苦しくなる。
「あとの二つは、どんな魔法なんだ?」
「催眠魔法と、」
シエルが訝しそうに問いかけると、ウメおばあちゃんは顔を引きつらせた。
催眠魔法、か。
街の皆がオーロラを襲った、故郷での出来事が脳内に浮かぶ。
確か、街の皆に催眠魔法がかかっていたんだよな。
「それと?」
オーロラが、ウメおばあちゃんを急かすように聞く。



