ゆらりと瞳を動かしながら、手元の本からお母様へ視線を移す。
お母様が手にしていたのは、禁断の魔法書だった。
『それが、探していた本なの?』
『そうよ』
『そ、それを、どうするの?』
声が、想像以上にか細くなってしまった。
でも、この状況で動揺するな、と言う方が無理な話だ。
『一度、ウメさんに預かってもらうのよ』
『預かる?どうして?』
『この本はこの世に一冊しかなかったのだけれど、もう一冊増やすことになったの』
よく意味がわからないが、あたしの言い訳がバレたわけではなさそうだ。
最後のページが破られていても、あたしがその犯人だってわかるはずもないだろうし。
いちいち焦っていたら、ダメだ。
もっと、余裕そうに振舞っていなくちゃ。
殺意も、ハルシオンのページも、嘘の言い訳も隠し通さないと。
最終手段を実行しても、しなくても、気づかれてはいけない。



