息遣いが荒くなる。
乱れた髪を、耳にかける。
引き戻り方を忘れてしまったくらい、悪意で満ちていく。
肩で呼吸をしながら、投げた本を取りに行った。
本が本棚にぶつかり、本棚にしまってあった本が数冊落ちている。
どんなに悔いても、逃したのがたった一秒だけだったとしても、時計の針は止まることも戻ることも知らない。
落ちてしまった本を、一冊ずつ丁寧に集める。
ふと、落ちた本の一冊に目が止まった。
『禁断の魔法書……?』
抱えていた本を一度置いて、禁断の魔法書と記された本に触れてみる。
その本の表紙は、とても冷たかった。
マイナス温度の、凍りついた表紙。
実際は、ただの本だ。
冷たくも温かくもない。どこにでもある、普通の本。
あたしが、そう感じただけ。



