『アンジェラス』
『あ、お父様』
通りすがったお父様が、アンジェラスに駆け寄る。
現国王と次期国王の澄み渡る雰囲気を目の当たりにして、内側から淀みきった思いが溢れてくる。
決して淀みがこぼれないように、声には出してしまわぬように、ギリ、と奥歯を噛みしめた。
『……あ、イービルもいたのか』
たった今あたしの存在に気がついたように、お父様があたしに声をかける。
寂しさと孤独が、あたしを覆っていった。
ねぇ、お父様。
アンジェラスに夢中で、あたしは見えていなかったの?
あたしを、影だとでも思っていたの?
悔しい。苦しい。憎い。
何もかもが。
あたしの世界を壊そうとする、全てが。



