歌を歌い終えたアンジェラスは、戸惑いを隠せずに、この状況におろおろしている。
『この国の王になるための条件は、なんだと思う?』
そんなアンジェラスに、お父様があの質問をした。
アンジェラスは、キョトンとしながら『わからない』と一言呟く。
『王家には、古より伝わってきた、ひとつの伝承があるの』
お母様の柔らかな声が、霞んでいく。
徐々に、遠くへ離れていく。
『それはね、“いやしの歌の能力を持つ者が王としてこの国を治めよ”というものよ』
そう、伝承だ。
そのたったひとつの伝承のせいで、あたしは女王にはなれない。
どうしてそんなものがあるのか、責めたいくらいだ。
『それって、つまり……』
『そう、お前こそが、次期国王となるのだ』



