ドックンドックン、と鼓動が激しくなっていく。
あたしは、張り詰められた空気の中で息継ぎをするように、水分を補給した。
『能力が複合することはなく、どちらか、もしくはその両方が、お前に継承されるんだ』
『もちろん、どちらの能力も受け継がれない場合もあるわ』
三年前と、全く同じ会話。
目を閉じれば、あの時のことが鮮明に想起される。
初めて雷を操った感覚も、血が沸騰するような熱さも。
『さあ、見せてくれ』
お父様の低い声と共に、午後九時までのカウントダウンが脳内で始まった。
――瞬間、アンジェラスの様子が急変する。
……ダメ。
何も、起こらないで。
いやしの歌の能力は、受け継がれなかったという事実だけを、あたしに見せて。
『お前の力を……!』
どうか、どうか。
あたしの夢を、壊さないで。



