バランスを崩した私と地面の距離が、縮まっていく。
スローモーションのように感じた、数秒間。
反射的に、目を瞑る。
――グイッ。
「…………あれ?」
痛みを覚悟していたが、腕を引っ張られた感覚があっただけで、衝撃はやってこなかった。
どうやら、誰かが私の腕を掴んでくれたおかげで、地面との接触は避けられたようだ。
ゆっくりと目を開いた私は、ホッと息をつく。
「ギリギリセーフだったな」
「ラジ、ありがとう」
助けてくれたのは、ラジだった。
私がお礼を言うと、ラジは私から手を放す。
視界の端に映ったシエルは、「ほら、言っただろ?」と呆れた顔をしていた。
「次からは気をつけろよ」
ラジはそう言って、私の頭を数回撫でた。



