そんな瞳をしているのに、グリンの表情は笑っていた。


この笑顔はまがい物だと、わざと教えるように。



つい、視線をそらしそうになる。


けれど、そらさない。


だって、無愛想に視界からグリンを外したら、グリンに嫌な気持ちをさせてしまうかもしれないから。



「ぐ、グリン」



思ったよりも、声がか細くなってしまった。


グリンの瞳は、まだ凍てついたまま。



「きっと、汚くないよ」


「え?」


「前はそう思っていたかもしれないけど、きっと今なら、汚くない。いい町だって、思えるはずだよ」



この大地のようにグリンの心が乾いてしまっていても、私が、私達が、その心に潤いをあげるよ。


そうすれば、穢れて見えた景色も町も人も、たちまち鮮やかになっていく。