私は腕を下ろしながら、グリンに言った。
え、とグリンの口から漏れる。
「あのね、昔、お母さんが言ってたんだけど」
物心つく前、私もグリンと同じことを思ったことがあった。
その時に、お母さんが言ってくれた。
「『空は確かに遠い。でも、それが空なんだよ。そこにあるから、空なんだよ』って」
空には、届きそうで届かない。
だけど、届かないから空なんだ。
真上に広がって、永遠に続いていく。
それが、空。
「遠くても、伸ばした手にかすりもしなくても、そこに空があることこそに意味があるんだよ」
私はむくり、と上半身を起こす。
見上げれば、そこに空がある。
当たり前じゃんって思ったでしょ?
でもね、当たり前は、かけがえのないことでもあるんだよ。



