「お願いしますよぉー。センパイ。ちょっといいかもって人、見つけたんですぅ!!」


「はぁー?あんた彼氏いるんじゃなかったの?てか、この人数よ?見つけられる?」


そう。


今日の新郎はどこかの社長の息子で招待客はそれはもう、凄い人数だった。


だから、席次表なんて自分の名前を探すだけで精一杯な訳で。



だから



気づかなかった。




「すでにチェック済みですって。ほら、あそこの壁際に集まってる5人組の………」


「えぇ??」


桜田の言う方向を見ると確かに男性が5人立っていた。


そして私はその中の一人に目がくぎ付けになる。


180センチ近い伸長にスラッとした体型。

艶やかな黒髪。


見るからに質がいい高級なスーツに合わせられた

これまた、高級そうなおしゃれ なネクタイ。



そして。


あの顔。


どこか中性的。それくらいの美形。


隣にいたら吸い込まれそうな綺麗な瞳。


それでいて、どこか少し危険な感じがするこの男。



私は知っている。


一瞬彼と目が合う。


その瞬間。


笑われた気がした。