「ちょっと壁蹴らないでくれない?穴とか空いたらどうすんの?」


結月の部屋は私の部屋に比べて物が少なくて、漫画の本棚にゲーム機、そしてベッドしか置いてなくて本当に私と同じ間取り?と疑ってしまうほど広く感じる。

結月はベッドに寝たままギロリと私を睨みつけた。


「てめぇ、いま何時だと思ってんだよ。掃除機なんてかけてんじゃねーよクソが」

結月は昔から寝起きが悪い。


中途半端に起こされると1日中不機嫌だし、だから結月と隣同士はイヤだって言ってんのにさ。


まぁ、唯一使ってない部屋は物置として荷物が押し込まれてるし何よりあそこは湿気が多いから最悪。

どうせ移動するならその部屋しかないから我慢しなきゃいけないことは分かってるんだけど……。


「すぐ終わるから文句言わないでよ。イヤなら遊びにいけば?ほら、えっと谷口くんだっけ?自転車で行けばすぐじゃん」

「は?なんでお前に指図されなきゃいけねーんだよ」

「指図なんてしてないでしょ。どうせ昼から遊びに行くんだったら早く行っても……」

「今日は天気悪いから行かねーよ」


確かに雲行きが怪しいかも。

天気予報では夕立があるかもって言ってたけどどうなのかな。最近は急なにわか雨も多いし、志穂が濡れなきゃいいけど。