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私は次の日、まるで遠足にわくわくしている子どものように早く目が覚めてしまった。

いつもはコロコロで済ませてしまう掃除も志穂のためならやる気が違う。


「お母さん掃除機……」

リビングに行くと休みのはずのお母さんはいなくて【急に仕事が入ったからお昼ごはんは適当に作って食べてね】とテーブルに置き手紙が置いてあった。

……お母さん仕事かぁ。


正直、掃除を手伝ってもらおうとしてただけに意欲が失せかけていたけど、階段下の小さなスペースから掃除機を取り出して自分の部屋へと持っていった。


「よいしょっと……!」

掃除機はけっこう重たくて、これを片手で持って毎日2階の廊下を掃除しているお母さんがすごい。母は強しっていうけど本当だよ。


掃除機のコードをコンセントに差してスイッチを入れると、すぐに隣からドンッ!と大きな音がした。

一旦スイッチを止めたけど、なにもないから再び掃除機をかけ始めるとドン!ドン!と今度は2回。


「あーもうっ!!」

たまらずに私は結月の部屋へ行ってドアを勢いよく開けた。