「ゆづくん、昔から素直じゃないけど優しいところいっぱいあるでしょ?葉月が作った秘密基地が壊されたとき真っ先に上級生に文句を言いにいってくれたし、葉月が犬にビックリして足ひねった時なんて家までおんぶしてくれたじゃん」
「もぉーいつの話?全部小さい頃だし」
そりゃ、昔ははぐれないように手とか繋いでたし、志穂を交えて3人でよく遊んでた。
あいつに優しさがないとは言ってない。志穂がいうように助けてもらったこともたくさんあるし。
だけどいまの結月は本当にイヤ。
なに考えてるか分かんないし、昔のように慕われてもそれはそれで怖い気もするけど、もう少し私を労(いたわ)ってくれても良くない?
扱いが雑すぎて泣けてくるよ、マジで。
「でも思春期の男の子って大体そんな感じなんじゃない?もう少し時間が経てばまた昔みたいに仲良くできるよ」
「別に仲良くしたいわけじゃ……」
反論しようとしたけど、あいつのことでムキになる必要はないしやめた。こんなときだからこそ楽しい話をして気分を変えなくちゃ。
「明日何時にうちに来る?午前中?それとも午後?なんなら朝早く来てもいいからね!」
「学校がない日ぐらいゆっくり寝かせてよ」
「えーうちで寝ればいいじゃん」
「どうせ葉月うるさくするでしょ?」
「うぅ……」
だって志穂が泊まりにくるの楽しみなんだもん!
夜は朝までお喋りしたいなぁとか言いつつ、先に寝ちゃうのはいつも私の方なんだけどね。