「ちょっと!」

家に着いてリビングのドアを開けるとエアコンの効いた部屋で結月がくつろいでいた。

冷蔵庫にひとつだけ余っていたアイスを食べていて私もそれ狙ってたのに……!制服を脱ぎ捨てて、もう楽なスウェットに着替えてるし、誰のせいで帰るのが遅くなったと思ってんの?


「これ、いつもの」

私はイライラしながら先ほどのラブレターを渡した。


「いらね」

「いらないじゃないよ!あんたがそういう態度だからみんな私に頼んでくるんでしょ。返事を書けとは言わないから自分で処理してくれない?」

「めんどくせぇ」

「………」


なんでこんな奴がモテるのか私には理解できない。

昔はねーちゃん、ねーちゃんって可愛かったのに思春期を迎えてからはガラリと変わって今じゃ可愛げの欠片もない。

小学校でサッカー部に入ってから急にモテはじめて、中学では密かにファンクラブもあったらしい。


その頃から姉である私をみんな仲介人扱いして。だから同じ学校はイヤだったのに何故か高校も一緒のところにしたせいで私の苦悩は増すばかり。