「おい、ばかすみ!」
「っな!…架純だっつーの。」
1人で散々考え込んでいた私は、聞き慣れた声にハッと我に返って、慌てて持っていた箱をカバンの中へと押し込んだ。
リュックを肩にかけて、だるそうに片足重心でこちらを見つめるソイツは、
「帰ろーぜ」
私の悩みの元凶。
「なんで私が悠斗と帰るのよ。」
「はー?うっせぇな、早く行くぞ。」
嬉しいって、顔に書いてないかな。
本当は、悠斗と過ごす時間が好きだってこと、バレてないかな。
悠斗が好きだってことも…この際、伝わればいいのに。
なんて、思いながら体は素直に悠斗のあとを追って歩き出す。
別に2人で帰るのは初めてじゃないし、家だって同じ方角にある。昔からの腐れ縁だから、もう兄弟みたいだね!なんて言われることも多い。
そんな私たちだからこそ、他の生徒達から冷やかされることもなければ、変な噂が立つこともないんだ。


