三月ウサギは恋をする!?



「近衛先輩!」
 大声で叫んだつもりが声が出ないことに気づき、利香は喉を押さえた。当の近衛は、大物ルーキーと取材陣に騒がれたライバル校のキャプテンと硬く握手を交わしていた。それを、取材陣が勝手に写真を取っている。


「すいません。誰が貴方達に俺の事を漏らしたのか知りませんが、もう帰って下さい。もう良いでしょう?」

 大物ルーキーは小麦色の、口元に大きな黒子が色男を演出しているマスコミが飛びつきそうなイケメンだった。騒ぐのも頷けると思えるほどの。だが彼は取り繕う事もせず、苛々を隠さずに本音を言うと、すぐにまた近衛の方へ向き直った。

「今日は、フェアじゃなかった。君とは正々堂々と戦いたかったのに申し訳なかった」

「いや、良い修行になった。梶原――だったかな? お前も秘密をばらされ辛かったろ。お互い様だ。また戦おう」

 近衛らしい相手への激昂に利香の目が潤んだ。そしてすぐに利香の方へ振り返る。昨日は利香では無く菫の方へ駆け寄ったのにだ。だが利香ももう気にする様子は無かった。

「その声はどうしたんだ?」