三月ウサギは恋をする!?



 あんなに頑張った音楽部の演奏が向こうの声援にかき消された。毎日毎日、暗くなるまで練習したチア部の応援の華やかさや笑顔が向こうに負けている。頑張って来たのは近衛も一緒だと、皆知っているはずなのに。


「皆! もっと声出そう! 笑顔、笑顔!」
 利香が両手を上げて皆にそう言うが反応が悪い。

 そんな中、トップバッターの近衛はヒットを打ちそのまま一点を取った。肩は大丈夫なのだろうか。無理をしていないだろうか。そんな心配をよそに、近衛は青空に大きな弧を掻くヒットを飛ばすと、小さな声援に手を上げ応える。


 取材陣からは明らかに不満げな声が漏れたのを利香は聞き逃さなかった。次に近衛たちの攻撃になったら、近衛は出て来なかった。代わりに二年が投げて三振を取っていく。完全に向こうへ。それはつまり、近衛が率いる月華が追いやられていると。

(近衛先輩だって毎日毎日が頑張って努力してきたのに!?)

 応援席が士気が低下しているのは、火を見るより明らかだった。そんな中、取材陣が利香の後ろを通った。

「で、開始早々向こうのキャプテンの近衛がヒット打って一点入ってから、出てきてないんだって」