私が働いている会社は、業界ではトップの広告制作プロダクションのシキシマエージェンシーだ。
シキシマグループの中核を担う企業でもあり、私は東京本社制作局に勤務している駆け出しのCMプランナー。
こんな立派な会社に勤められて本当に恵まれてると思う。
勧めてくれた父には感謝しているのだけど、ストーカーに企画の練り直しにと、今日はテンションが上がりそうにもない。
「教えてくれてありがとう。生方(うぶかた)さんにも話しておくね」
クリエイティブディレクターの名を出し、私は仕事に戻った。
練り直しになるなら、早く動かないとならない。
クライアントへのプレゼンテーションの日も迫ってる。
私は頭の中を無理矢理切り替えるように両手で頬を軽く叩き、クリエイティブディレクターのデスクへと向かったのだった。



