「──っ!」
声にならない声を発して、私の意識は一気に浮上し目を覚ました。
いつの間にか呼吸を止めていたのか、私の肺は空気を求め荒い呼吸を繰り返す。
辺りは陽の光に照らされていて明るく、ここが現実なのだと安心させてくれた。
夢で良かったと安堵した時、額に何かが乗っていることに気付く。
掛け布団の中に入っていた手を出して触れてみれば、それは濡れた手拭いだった。
識嶋さんが冷やしてくれたのだろうかと、カーテンの隙間から差す光の方へ視線を向ければ。
「……えっ……」
驚いて、私は目を見張った。
もしかして、私はまだ夢の中にいるのだろうか。
そう疑ってしまうのは、私の寝ているベッドの横で、識嶋さんが椅子に座りながら眠っているからだ。
彼は細身のジーンズを纏った長い足を組み、ベッドサイドテーブルで頬杖をつきながら緩やかに肩を上下させている。
陽に照らされた長いまつ毛は微動だにせず、彼が深い眠りの中にいることを語っていた。



