ゲストルームに備え付けられているバスルームは、いつも村瀬さんが掃除してくれている。
彼女のお休みの日である土日だけは自分で掃除しているけれど、今日は金曜日。
蛇口を捻るだけでいいというのは、会社帰りの疲れた体にはとてもありがたかった。
疲労を回復するようにゆっくりと湯に浸かる。
のぼせないうちにとお風呂から上がり、ドライヤーで髪を乾かした私は、冷蔵庫にしまってあるミネラルウォーターを取りに行く為にキッチンへと向かった。
その道すがら思い出すのは昼間の打ち合わせのことだ。
結局あの後、大島さんは戻ってこなかった。
それどころか会社を早退してしまっていて、このままいなくなるのではと相馬先輩が危惧していた。
まあ、フリーの人だからうちでの仕事に拘る必要はないけれど、何度か一緒に仕事しているし仲が悪いわけでもないから、なんとなくこのまま会わなくなるのは……
「後味悪いものだよね」
つい漏らした独り言。
誰も応えるはずなかったそれに、「何がだ」と声が返ってきて私は驚き肩を震わせた。
識嶋さんがリビングのソファーで静かに寛いでいたのだ。



