部屋の電気をつけ、少し乱暴気味に扉を閉めて。

トートバッグをベッドに置くと、いつの間にか火照っていて頬の熱を冷やしに広々としたバルコニーへと出た。

ハウスキーパーの村瀬さんがお世話しているプランターが並ぶ中、少し強い風に当たりながら思う。

やっぱり識嶋さんを変えるなんて私には出来そうもないと。

そもそも性格的に相容れないような気がするし、彼を変えるなんて微塵も想像がつかないのだ。


夜空を見上げれば、白く丸い月。

星は静かに瞬き、未だ心臓が落ち着かない私を見下ろしていた。