スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-



堂々と聳え立つタワーマンションの明かりを背にした識嶋さんは、私の質問に真顔で答える。


「そうだな」


ハッキリと肯定されて、いつかもこんな風に心にダメージを喰らったことを思い出した。

関係が甘いものに変わっても、彼は彼のままだなと苦笑いを浮かべていれば、識嶋さんはさらに追い討ちをかけていく。


「別に絶世の美女でもないし、モデル並みのスタイルでもないし、特別ズバ抜けた頭脳を持ってるわけでもない」


自分でもわかっていることを言われてるし、反論の余地もないんだけど、さすがにこうためらいもなく言われると傷つく。

苦笑していた顔が引きつりはじめた頃、識嶋さんは微笑みを浮かべて。


「でも、バカでお節介だからな」


そう、口にした。

言葉は褒められてはいないので、私が複雑な顔で首を傾げれば、彼は小さく肩を揺らして笑う。


「俺と友人になろうとしたり、余計な世話焼いたり、バカじゃないとできないだろう?」


意地悪そうな笑みに、からかわれているのがわかった。