「だ、大丈夫ですよ!」
「そう言って襲われたのはどこの何て名前の女だったか」
睨みつけられて私は言葉を詰まらせる。
確かに、それを言われたら弱いんだけど。
でも、内山君は捕まった。
他にストーカーがいるなんてそうそうあり得ることじゃない。
「車が目立つから嫌だと言うなら、俺が自分の車で送迎する」
それなら問題ないだろうと言いながら、彼は鞄をソファーの上に置くとネクタイを緩めた。
確かにあの白いリムジンは目立つけれど、問題はそこじゃない。
もう内山君のことは落ち着いたし、何より識嶋さんによくしてもらうような関係ではないのだ。
互いの気持ちが、繋がっていたとしても。
「そこまでしてもらえないです。識嶋さんも忙しいだろうし、無理して仕事に支障が出ても──」
「支障は出さない。忙しくても、無理してでも、お前を優先する」
「何、言って……」
ひどい、殺し文句だ。
好きな人にそんなこと言われて、喜ばない人がどこにいるだろう。
でも、ここで折れるわけにはいかず、私は口元に笑みを浮かべた。



