想像しただけで痛む胸。
切なく苦しい疼きに大きく息を吸い込むと同時、玄関から物音がして。
「まだ起きていたのか」
識嶋さんが帰ってきた。
彼は「お帰りなさい」と口にした私を見て軽く首を傾げる。
「何かあったのか?」
「……どうしてですか?」
「いつもの間抜けな顔に元気がないように見える」
……一言余計だけど、要はさっきまでの思考を引き摺っていて顔に出ていたということだろう。
すぐ顔に出しちゃう癖、直さないと。
でないと、いつか気付かれてしまうだろう。
私の、彼への気持ちに。
「元気がないんじゃなくて、困ってたんです。識嶋さんのせいですよ」
「俺?」
「識嶋さんが心配するから、勘違いしたんです」
気落ちしていた理由を文句にすり替えて帰宅時にあったことを説明する。
私も気にしてしまうから、今後は過度な心配は無用だと伝えてこの話は終わるはずだった。
けれど、予定通りにはいかず。
「確認はしたのか?」
「しませんよ。怖いし、何より勘違いでしょうし」
「わかった。内山のことは確認させておく。あと、別の人物の可能性も否定できないから、やはりしばらくは車を使え」
逆に識嶋さんの心配を深めてしまった。



