「好き、だ」


甘い囁きが耳に届き、識嶋さんは、私の中に残る戸惑いや不安を攫うように、再び唇を重ね合わせた。


彼の言葉を、意味を、どう受け取ればいいのかわからず、ただひたすらに熱さを増していく唇を唇で受け止めて。


わかるのは……


もう、友人というカテゴリーには戻れないところまできてしまったということと。


このまま全てを捨てて、彼のものになりたいという


身勝手な私の本音だけだった。