スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-



もしかして、なんだけど。

私、歓迎されてない?

金持ちでもないやつの護衛とかだるいとか思われてるのでは。

い、いや、悪く考えるのはよそう。

ほぼ初対面だし、人見知りされてるのかもしれない。

ここは別の話題を振ってみようと、顔に笑みをのせた。


「えっと、社長からボディーガードがつくって伺ったんですけど、もしかして貴方がそうなんですか?」


この質問なら彼の自己紹介が始まるはず。

そこから少しでも友好度を上げたいと目論んだものの。


「俺はここの家主だ。ボディーガードはあの人が勝手に俺のことを言っただけだろう」


彼からの冷淡な視線を浴びせられながら説明を受けた私。

予定外の展開に、私はただ首を傾け眉根を寄せてしまう。


「ということは、貴方のお家に私が居候……させてもらうんでしょうか?」


自分でも確かめるように声にすると、彼はそうだと少し面倒そうに小さく頷いた。


なんということでしょう。

てっきり使ってない家にボディーガードの人と住むのかと思っていた私。

けれど蓋を開ければ、すでに家主がいて居候の身としてお世話になるという事実。

これでは確かに彼の態度が素っ気ないのも納得だ。