「芹沢は良いやつだよなぁ」
「はい!?」
突然の誉め言葉に驚く。
やっぱりつかめない人だ、先生。
「何か溜め込んでない?」
「いえ」
「嫌なことは?」
「特には…」
「我慢してたりしない?」
「ないですって」
そんな押し問答が
一旦終着すると
「何かあったら言うんだよー?
先生は以外にみんなのこと見てるし、
芹沢のこと、わかってるからさ。
ん?これセクハラ?」
首を傾げた先生はスーツの胸ポケットからジャラリと鍵を取り出して
「手ぇだして」と、私に渡す。
「黄昏終わったら、鍵返してといてね~」
そうして私の頭をポンポンと撫でると
ツカツカここから出ていってしまった。


