光の向こうへ





「俺、見たんすけど、芹沢が
他の女子に……なんかこう、ほら」



「避けられてる感じ?」



「ん~、まぁ。」


俺が揺る~く首肯すると
先生が「いぇはは~」と変な笑いを漏らした。


「男共はそれ気づいてんの?」





「そんな酷くなさそうなんで、
気づくやつは気づいてる位の程度じゃないすか?」






すると先生は

そのおかしな笑いをこじらせて
「いょっふ、いぇははぁ~ぁひひひ」
とか机をバンバン叩き始める。


なにか、変?






数秒後
収まった笑いをその顔から完全に掻き消して



「そりゃ、お前」


世に言う真顔というやつで



「恋、じゃねぇ?」



いつもより3倍カッコつけて言った先生の空回りは

俺の頭にさえ入ってこない。



「冗談ですよね」

「本気にした?」


するわけねぇだろ。




そんな俺の小さなイライラをよそに

先生は


教室に行き渡る
咳払い1つ。






ま~た、カッコつける気?