翌朝、一番に入ってきたメッセージに小さく胸が痛んだ。


『ホタルの様子がおかしい』


大輔さんが言ってきたのは、自分がどんぶりに入れて飼ってる金魚のことだ。

キャリコという三色が混ざった種類の出目金で、元はお父さんが飼っていた。

ホームレスになっていたお父さんの遺体と対面した時、肌身離さず金魚を持ち歩いてたと聞かされた大輔さんは、同じ色合いの浴衣を着てた私のことを思い出し、そのキャリコ出目金だけは連れて帰ろうと決めた。


ホタルの名前は『蛍(ケイ)』という私の名前から付けた。
人懐っこい魚で、初対面の私がエサをあげても食べてくれた。



そのホタルの様子がおかしい…というのはどういう事なんだろうか。

ぼぅっとした寝起きのままで考えてたら、次のメッセージが流れてくる。


『色合いが変だ。病気かもしれない』


大輔さんが観察したままの状態を教えてくれる。

朝に水替えをするのが習慣になってたから、その時に気づいたようだ。



『ネットで調べてみた?』


少し頭が働くようになってからメッセージを送り返す。

今頃は既に部屋に置いてあるノートパソコンで検索中だろうとは思う。



『尾腐れ病か白カビ病かもしれない』


暫く経ってから戻ってきた答え。
その間に私はベッドから起き出し、パジャマから服へ着替えた。


『治療法とかあるの?』