『O、Kです』


短い返事をして改札を抜ける。

誰でも通過できるこのゲートのように、自分が扱われてしまうのはイヤだ。

ずっと飽きずにいて欲しいと願うのがムリだとしても、せめて私だけの人でいて欲しい。



(それってムリな相談…?)


恋愛経験が少ない自分に大輔さんの気持ちがわかる訳ないし、真綾や聖に相談するというのも何だか違う気がする。

きちんと彼に向き合って、「飽きないで下さい」と願うのが賢明だろうと思うけど…。


(そんなこと言ったら、どんな顔するのかな…)


純香さんの言った言葉を信用するなと言われた。
明らかに私にしか話してないこともあると思うし、私の前でだけ素直に泣けると言ったのもウソじゃないと思う。


ただ、とても引っ掛かる。
純香さんの言ってた言葉が。


『大ちゃんって、女と別れたら大抵私に縋ってくるの。心の中にある古キズ癒せれるの私だけだって言ってた』



縋るっていうのは実際にあったことなんだろうか。
古傷を見せたことだって、全くないとは言えないんじゃないのか。



(だって、幼馴染なんでしょ…)


自分にはいない存在。友人以上に近くて、家族よりも親しい関係のように思う。

そんな人がライバル。
私以上に長い時間、大輔さんのことを見てきた人。

その人と同じように彼を思って、守れますとは言ったけど……


(……それも、大胆過ぎたかもしれない)