「でもな、今日の彼女にはきっとマジだと思うぞ」


仲間内に紹介しておこうと思うとか、これまでは絶対になかったんだから。


「…そうね。そりゃそうかもしれないとは思ったよ」


二人きりで話をした時、親父さんのことは知っているのかと聞いたらしい。


「お父さんのことも一応聞かされてるって言ってた。あの大ちゃんが口が裂けても話したこなかった事なのに」


「ふーん」


「あの人には話したくなったのかな」


つまらなさそうに肩を竦める。
その横顔がどうにも寂しげだった。


「自分の人生を教えたい、話しておこうと思える相手なんじゃねぇの?」


そう思うとこりゃますます純香に勝ち目はねぇな。


「兄さんの話を聞くと嫌んなる。もうあれこれ言わないで!」


イジケちまった。
今年で30になろうかって言うのに、てんで子供じみた妹だよ。


「わかった。もう黙っとくよ」


でも、できるだけ早く諦めろ。
大輔は何があってもお前のことは見てくれねぇから。