「……君のことが好きだって言ってるんだよ。そうでなければ、あの身上書を渡したりしない……!」


ビクン!と背筋を伸ばしたのは私の方。
重なりだした唇の熱さに、胸の奥が張り裂けそうなくらいときめいた。



「…あっ………ふっ………」


チュッ、チュッ…と音を立てて吸われ始め、足の力が抜けそうになる。



「しゃ…ちょ…」


容赦もない感じで唇を求められ、腰の力までもが抜けそうになった。



「真綾」


抑揚のない声じゃない。
熱を含んだ声が私の心をさらう。


(社長………ううん)


「祐輔さん……」


離れた唇の隙間から一瞬だけど名前が呼べた。

その後はまた、激し過ぎるキスの応酬に押される。


「…はっ……んっ……」


何がどうなってもいいと思うほどに追い詰められて、ようやく社長の唇が離れていく。



「…っはぁ……」


吐息を漏らす私の体を抱き寄せ、ぎゅっと息継ぎがしづらいほどに力を込めた。




「手に入った」


短い言葉は何だか泣いているようにも聞こえる。


「君がこの部屋に初めて来た時から、ずっと手に入れたいと考えていた」


アップしていた髪のパレットを外され、零れ落ちるようにバラけた髪の毛に触る。



「真綾……」


そんな熱っぽい声で名前を呼ばれたことなんてない。