苦しそうに手を洗う新伊はもうここにはいない。



編入先の学校では、家でみせていたような笑顔で笑う新伊でいてほしいと心から願った。

そして、この学校で、あのクラスであと1年半過ごすオレは、もうこれ以上人に流されずに、自分に後悔しないようにしなければならない思った。


でないと、新伊になんだか申し訳ない。





人間、なくして初めて気づくんだ。

なくした時にはもう遅いのに。

後悔したって元には戻れないのに。





それでも後悔して悔しがる。


あの時のオレは、逃げるばかりだったから。