鬼と仮面


飛べない鳥、らしい。

「灰澤さん、今助けますね」

「矢敷さんまだ酔ってます?」

ちゃりんとお金を入れて陽気な音楽が鳴り始めた。クレーンに引っかかったキーウィは一度落ちて、二回目に取れた。

「どうぞ」

ちょうど腕に収まるくらいのサイズのそれを、手渡された。
ふわふわしている。

「経理のひとがこんなのにお金使って良いんですか?」

「自分のなので問題ないです」

歩き出した矢敷さんの後ろを歩く。

「ありがとうございます」

ちょっと振り向いて、「どういたしまして」と聞こえた。