『仲間意識』

と言うと可笑しいが

わたしは、一人じゃないことが、なぜか嬉しかった。


こんな異常な行動を繰り返す自分が嫌になることはよくあった。


でも、麻美もやっている。


それを聞いて、正直安心した。


…わたしのこの考えこそが

異常である。


そんなことわかっていた。


でも……



一人で、行き場がない感情を、リストカットにぶつけるしかなかったわたしは

それが、嬉しかった。


「辛いよな。…苛々したら意味もなくやって…余計辛い思いするだけで」


そう、気持ちをわかってもらえたことが嬉しくて

わたしも心の内を全部話した。


本当に…笑ってしまう話だ。



自分を傷つけた人に気持ちをわかられて

共感されて。


普通に頭が回る人なら

『冗談じゃない』と思うだろう。



「そう。死ぬ気ないのに、するんよな」



麻美は、うんうんと頷いていた。






わたしは、気持ちをわかってくれる人がいることで


さらにリストカットにのめり込んでいった。





リストカット依存症が


発症してしまったのだ。